竹沢うるま写真展
「世界は広い。僕らが思うよりも遙かに大きく、そして深い」。
それは僕が世界を旅してきたなかで感じた、一番大切なことです。世界の広さは大地の多様さで、深さは人の心の奥深さです。そのふたつが交わる瞬間、風景は火花が飛び散るように激しく輝き始めます。その瞬間は、大地も人も、まさに生きていました。
僕は2010年の3月に日本を旅立ち、1021日に103ヶ国を巡る旅の中で、その瞬間を求め続けました。
広大なパンタナールを旅するカウボーイたち、アンデス山脈でアルパカの放牧をして暮らす人々、アフリカの最奥地で巨大な角を持つ牛と共に生きるウォダベ族、パミール高原の遊牧民など、過酷な自然の中で生きる人々は、みなその大地にしっかりと足を踏みしめ、まさに生きていました。その姿は、優しく、そして美しかったです。
豊かで厳しい大地があり、そこに人がいる。その関係性の中から、言語が生まれ、文化が生まれ、歴史が生まれ、すべてが始まる。
「生きる」とはどういうことなのか?
僕らは本当の意味で生きているのだろうか?
僕は旅の中で、そのような美しい人々に出会う度に、そう無言のうちに問いかけられているような気がしました。
この写真展は、その旅で出会った「Indigenous=土着」の瞬間を写した写真で構成されています。これを機会に、世界各地の大地と人のつながりに触れて、自然とは何か、大地に生きる意味とは何なのかを感じて頂ければと思っています
写真家 竹沢うるま
Indigenous
竹沢うるま写真展「Indigenous」
コニカミノルタギャラリー新宿
2023/11/27-12/09